2015年12月08日

刑に服す「僕」が事の顛末を、犯した罪を、過去に受けた傷をさらけ出してゆく。

この手の自分語り小説というのはハズレがない。

それがフィクションであれ、ノンフィクションであれ。

獄中からの言葉には特別な魔法がかけられている。




「解錠師」もまた、刑務所の中で10年過ごした青年が、その過去を回想していく小説だ。

アメリカで多くの賞を獲得した「解錠師」は、日本でも2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位、このミステリーがすごい2013年海外編第1位を取り注目された。

解錠師 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
スティーヴ・ハミルトン
早川書房
2012-12-09


kindle版もあります。
解錠師 ハヤカワ・ポケット・ミステリ
スティーヴ ・ハミルトン
早川書房
2012-08-01



個人的にはミステリー要素の部分に物足りなさを感じたのは事実だけれども、この小説の醍醐味はミステリー要素ではなく、ロマンス要素にこそあると思う。ロマンス描写がそれはもうキュンキュンきまくる小説なのだ。

少年は8歳の頃に、ある事件がきっかけで失語症となってしまう。なかなか語られないその事件。いったい少年に何があったんだ!?と、どう考えたってそっちに注目してしまうし、事実そう促す語り口調だけど、そのいわゆるミステリーの核となる事件は正直なとこ想定の範囲内におわる。


ただね、アメリアとのロマンスがまぁすごい。声が出ない少年とアメリアが心を通わせていく手段が漫画なのですよ。漫画みたいな、という意味ではなく、漫画。

自分の気持ちを漫画にしてアメリアに読ませる。アメリアはそれに応えて漫画の次のコマを描いて少年に渡す。二人でコマを交互に描いていく。

そしてついに―—。

ピークのところは悶絶しました。

物語の中盤のところ。そのロマンスがこの小説のもっともおいしいところ。そこを味わうだけでも十分価値のある、かなりオススメの小説です。

座頭魄市orejiru at 18:31│コメント(0)トラックバック(0) │ このエントリーをはてなブックマークに追加

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