2015年07月08日

160882

【あらすじ】
鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……

【感想】
完璧でした。何もかもパーフェクト。

まだ上半期が終わったばかりですが、2015年ベスト1映画は「海街diary」で間違いない。今「映画館」で観るべき映画としてならたしかに「マッドマックス」のほうが外せないとは思うのですが、いつまでも心ゆらす映画として僕は「海街diary」をこれから先いくつになっても繰り返し観るでしょう。同監督の「歩いても歩いても」に並ぶ名作。小津安二郎と同時代に生きた人を羨ましがっていた時期もありましたが、もうそんなふうに思わなくてもいい。なぜなら是枝監督と同時代に生きていられる贅沢がここにあるから。

原作のマンガからして非常に優れた「神作品」ですし、実写化には少しばかり不安を感じてました。特に女優陣が発表された時、三女の千佳(夏帆)に随分と違和感を感じたものでした。僕は原作ありきの映画を観るときに、原作の世界観だったりは気にせずに、全く別の作品として観るように心掛けてはいるのですが、「海街diary」ばかりは気が気じゃないというか、入れ込んじゃってたんでしょうね。

三女の千佳は原作と比べてかなり性格を変えて作られてるのですが、それがなんとも見事な改変でして、これは原作が好きすぎて観るのが怖い人も是非観てほしい。マンガチックな性格の千佳も、なるほどこうすれば実写にすとんと違和感なく落としこめるのかと、監督の技に膝をうつこと間違いなし。

そして佳乃(長澤まさみ)もヤバかった。長澤まさみといったらモテキでしょうって声が大多数でしょうし、実際のところアレはアレで完成してたけど「海街diary」の長澤まさみはもう演技じゃなかった。女優じゃなかったと言うべきか。実際のところ、ガチでこの4人、4姉妹なんじゃないか、いやさすがに血は繋がっていないかもしらんけど少なくともこの4人は本当に鎌倉で共同生活しているよね、こうして映画を撮り終わった今でも。そんな疑念を捨てきれないでいる自分がいるんです。モテキの長澤まさみはあくまで女優業を完璧にこなしていたわけですが、海街の長澤まさみは完全にオフショット級の自然体で、映画撮ってるの本人実は気づいていないんじゃないだろうかと。あれだけかわいいモテキでさえ、ちゃんと女優として観ていましたが、今回ばかりはもうダメでした。長澤まさみに落ちました。長澤まさみにお願いされたら税金も倍おさめてもいい。佳子さまのために税金おさめてるようなものでしたが、それを超えるレベルって意味です。皇族のひとつ上のフェーズに長澤まさみもとい4姉妹がいらっしゃる。

「山口百恵は菩薩である」(講談社)とか「前田敦子はキリストを超えた」(ちくま新書)など、これまで神格化されてきた女性たちと並べてみても、やはり後光がはっきりと感じられるのはこの4姉妹。








概念化されてしまった4姉妹の一番の見どころは、これほど美しい存在であるにも関わらず、また崇高な存在にも関わらず、僕たち人間と同じように傷ついて、悩んで、涙を流しながらも一生懸命生きているってこと。酒だって飲むし、喧嘩もするし、後ろめたい恋だってする。ああ、だからこそ美しいのだと気づかせてくれる。女神たちはいいところも悪いところも全部ひっくるめて、生きることを肯定してくれる。女神たちからの人間讃歌。

エンドロールの時にはもう無意識で手合わせてスクリーン拝みましたよ。ありがたやー。ありがたやーって。


近頃はますます女性の時代が幕をあけたのを感じる日々ですが(マッドマックスですら女性の時代を反映してますからね)、「海街diary」はより強く女性の時代を感じられる作品だと思います。

僕ら男はね、もういい加減に地球は女で廻っていることをちゃんと意識しないといけないんですよ。そのうえで、せめて僕らなりに努力して、ご飯のうえにアクセントでかけた「ごま」程度に役立てばバンザイです。

変なところに着地しそうなのでこの辺でやめておきますが、「海街diary」は教養として一度は観ておくべきといえるレベルの作品でしたので、ぜひ、マッドマックスとのはしごで、劇場で観ていただきたいと思います。


座頭魄市orejiru at 19:19│コメント(0)トラックバック(0)映画 │ このエントリーをはてなブックマークに追加

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