2014年11月16日

少し前にtwitterで自然界の青が大量に集まるハッシュタグがありました。

#なぜ青色発光ダイオードがすごい発明かと言うと青いバラがないように自然界に青色が存在しないからなんだよね

元のツイート




これに対し多くのツッコミ、反論として自然界の青色が集まったわけです。

Togetterまとめ

#なぜ青色発光ダイオードがすごい発明かと言うと青いバラがないように自然界に青色が存在しないからなんだよね に寄せられた色んな青まとめ!!









元のツイートに対する反証として、自然界の青色が続々と集まることになり、これはこれで楽しめたわけなんですが、じゃあ元のツイートが間違っていたかというと、どうやらそうでもなさそうなんです。

自然界に青色は存在しない。

これが実は正しい。


もっといえば、自然界に色は存在しない。

青色どころか、赤色も黄色も緑色も存在しない。


太陽は一連の波長からなる電磁波を放射しています。
その光の波長が物質に当たって屈折偏光して進みます。
その波長がヒトの眼に飛び込むと網膜に集光されます。
その情報が脳に伝達されて色づけされているんです。

450-495nmの波長は青として処理される。
620-750nmの波長は赤として処理される。
といった具合に。
(詳しく知りたい方はWikipedeia可視光線

全く光の届かない場所で赤いりんごが見えますか?

そこに物質としてのりんごは確認できても、真っ黒にしか見えないはずです。


どうしてその色に見えるのか。
例えば植物の葉っぱは大抵緑色ですが、なぜ緑色に見えるんでしょう。

これは水草アクアリウムをしている方なら知っているかもしれません。僕もそれで知ったくちです。

まず葉っぱに必要なのが400-500nm
この波長でカロチノイド、フラビン蛋白、リボフラミンなどの色素に作用させます。
そして600-700nm
この波長で光合成を行なっているんですね。

不要なのが500-600nmの波長です。
500-600nmの波長は葉っぱからすればいらない波長なんですね。ですからその波長を拒否して弾いてしまいます。その弾かれた波長が屈折してヒトの眼まで届いた結果が「緑色の葉っぱ」なわけです。

色が存在しないにも関わらず、その色に見えるのにはちゃんと理由があるんです。それは例外なく。

比類のないしくみをあれほどたくさんそなえている眼が、自然淘汰によって形成されえたと考えるのは、正直なところ、あまりに無理があるように思われる。——チャールズ・ダーウィン(種の起原より)


ダーウィンは眼を「完璧にして複雑きわまりない器官」と称した。最後まで眼という器官を読み解くことは出来なかった。

色ってなんだろう?


好奇心の翼を広げてもっと大きな疑問をもってみよう。


眼ってなんだろう?




色について。眼について。
或いは生物の進化についてといってもいい。

この一冊がその疑問に答えてくれる。

まさに眼から鱗がおちる本。


眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
アンドリュー・パーカー
草思社
2006-02-23



結論はとてもシンプルなものです。


地球に生命が誕生したのは40億年前。

原始生命体からバクテリアへ、そして多細胞生物が誕生します。多細胞生物まで進化するのにざっくり30億年が経過しました。

そしてカンブリア紀(5.5億年前)に、それまで数十種類しか存在しなかった生命体が数万種類に増加しました。しかもわずか500万年の間にです。

現存する生物のほぼ全ての門(種類)がカンブリア紀に誕生したのです。

「カンブリア紀の爆発は眼の誕生が引き金だった」

これがこの本の結論です。


この仮説を証明するため一つ一つ丁寧に検証データを積み上げていて、読了する頃にはこの結論こそが真理であると確信できるはずです。

推理小説さながらの面白さで、色の、眼の、生命の相当な知識が蓄えられる良書ですよ。

装丁もかっこいい。

でも、例えばカマキリのように「複眼」のアップ写真だったら内容ともマッチしてもっとビシッと締まりのいい装丁になった気もする。


座頭魄市orejiru at 10:16│コメント(0)トラックバック(0) │ このエントリーをはてなブックマークに追加

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