2014年05月20日

Blue-Jasmine-Poster-Cate-Blanchett


ウディ・アレンの最新作「ブルージャスミン」
ケイト・ブランシェットがこの作品でアカデミー賞主演女優賞を獲得しました。

すごい演技力でした。

今年の作品では「ダラス・バイヤーズクラブ」のマシュー・マコノヒーと、「アメリカン・ハッスル」のクリスチャン・ベイルがひときわ印象的。

二人とも体を張ったスゴい演技を見せてくれているんですが、そういった類いの演技力とはまた違う感じで。

台本を渡されて、パラパラと流し読んで、5分で役の特徴をつかんで、「はい、じゃあ撮りましょうか」って、カメラの前でさらっと演技したみたいな。

「呼吸をするように演技する」女優なんでしょうね。
ほんとうは相当な努力をしているはずですけど。


ウディ・アレンは彼女の演技力についてインタビューでこんな風に語っています。
常に彼女は素晴らしく、偉大なのです。"偉大"というのは、自分が定義づけできないような天才のことです。演技が上手い、けれどそれをぴょんと飛び越えてしまうような素晴らしい豊かさ。理解したり、文章で説明できる範囲を遥かに超えている。ケイトにはその深さや複雑さがあります。

ウディ・アレンは女癖が悪いことで有名で、彼も「呼吸をするように女を褒める」監督ですけど、この言葉には同感です。

天才なんですよ、ケイト・ブランシェット。


そんな彼女が演じる「ジャスミン」は、投資家の夫と一人息子とニューヨークに暮らすスーパーセレブ。

だったんですが、夫が不正で捕まってしまって、家もお金もぜんぶ失ってしまうんです。息子までも出て行っちゃって。何もかも失ってしまったところから映画は始まります。

そんで、サンフランシスコに住む妹の「ジンジャー」を頼って訪ねるんです。

ジャスミンは莫大な借金を抱えてしまってるにも関わらず、サンフランシスコ行きのチケットはファーストクラスを取っちゃう人なんですよ。借金増やしてまで。エコノミーの意味がわからないんでしょうね。破産して、家も宝石も全部失いながらも、バッグはバーキンだし洋服はシャネルだし。

一方の妹ジンジャーは、ジャスミンとは正反対なタイプで。安アパートで暮らすシングルマザーなんですが、部屋もごちゃごちゃしてるし、着ている服もちょっとみすぼらしいし。ジンジャーの彼氏もスゴくいい人なんですけど、ジャスミンにとっては現状に満足している安っぽい男にしか見えなくて。

そんな妹のことを、ジャスミンは心の中では見下してるんですね。いや、態度に出てるんですけどジンジャーはのんきな性格で、姉さんの態度が気にならないんでしょうね。大好きなお姉ちゃんだし。

自分を頼ってきてくれたことが嬉しくて、いろいろお世話してあげるんですよ。サンフランシスコでは知り合いがいないジャスミンのために、彼氏の友達を紹介したり。その友達も小太りのお金もってなさそうな男なんですけどね。明らかに、会話すら拒否する態度をジャスミンは取ってるんですが、その男も鈍感で、携帯電話の番号交換をしようとするんです。それでジャスミンきれちゃって。


ジャスミンは、何もかもを失ってるんですが、プライドだけは失っていないんですよ。プライドと、過去の虚名のみを糧にしていて、現在の状況とか、周囲の人たちの差し伸べる手とかですね、全く見えてないんです。

終始イライラしてて、アルコールと精神薬をがばがば胃に流し込むことでなんとか、現状に耐えてる状態なんですね。

彼女、どん底なんですよ。
彼女「だけ」が、気付いてないんです。

ウディ・アレン監督はですね、このジャスミンのどん底っぷりを、定点観測しているかのように撮り続けるんです。ライターの高崎俊夫さんが解説で「昆虫を観察するような冷徹さで」と表現されてますが、まさに昆虫観察なんですよね。

この映画はモデルがいるんですね。バーナード・マドフ事件っていうアメリカで巨大金融詐欺があったんですけど。



ニューヨークのユダヤ系富豪層の財産をがっつり吹き飛ばした事件で、被害総額は6兆円っていう、酷い事件なんですが。ちなみにバーナード・マドフは懲役150年で現在も服役中のようですけども。

マドフの奥さんはルースって人なんですけども、ルースは夫が詐欺師だって事を全く知らなかったそうなんです。ねずみ講の意味も知らない人で。僕の友人にも若い頃にねずみ講に手を出した奴がいまして、僕はそれはねずみ講だよって言ったんですが、全く意味わかってもらえなくて。彼らはわかんないからやっちゃうんでしょうけど、ルースはそれ以上に知らなくてですね、洋服のことと、インテリアのことしか知らないんです。

マリー・アントワネットなんですよ、ルースも、ジャスミンも。

そんで、ジャスミンはセルフブランディングを始めるんですね。「あ、わたしインテリアデザインが好きだからインテリアデザイナーになるわ」つって、それならパソコンでサイト立ち上げないとって流れで、でもジャスミンはパソコンいじった事もないんですよ。

だからパソコン教室に通うところから始めるんですね。もう基本的にダメな子なんですよ、おまけにその授業料も払えない状況ですから。

意識はすごい高いですから、妹のジンジャーにもですね、説教するんですよ。「あんなろくでもない男といたらダメよ、もっといい男探しなさい」って。大事な事だからもう一度言いますけど、ジンジャーの彼氏すごいいい奴なんですけどね。


それでジャスミンとジンジャーはお金持ちが集まりそうなパーティに出掛けるんです。そこで、二人ともちょっといい男見つけちゃうんですね。

そこから話は盛り上がっていくんです。


ここから先の展開は書かないでおきますが、この映画は特に女性が見た場合に、すごい色んな事を考えさせられる映画だと思います。お金だけが幸せの基準じゃない、みたいな、ありきたりな終わり方じゃないんですね。

きっと多くの女性の心の中にも、ジャスミンはいるんじゃないかなあ。

そう僕は感じました。

勿論、男性にも。
特に与沢翼さんにはですね、是非鑑賞してもらって、ブログに感想をアップしていただきたいな、と。


座頭魄市orejiru at 12:54│コメント(0)トラックバック(0)映画 │ このエントリーをはてなブックマークに追加

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