2013年09月

2013年09月30日

127時間 [Blu-ray]
ジェームズ・フランコ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2012-06-22


【ストーリー】
誰にでも、人生のターニング・ポイントは必ずやってくる。アーロン・ラルストンの場合、それは自分の庭のように慣れ親しんだユタ州、ブルー・ジョン・キャニオンでの出来事だった。
金曜の夜、いつものように一人で、ロッククライミングを楽しむため、ブルー・ジョン・キャニオンに向け出発した。だが、運命の瞬間が彼に襲いかかる。落石に右腕を挟まれ、谷底から一歩も動けなくなったのだ。助けを求める叫び声は無人の荒野にむなしく呑み込まれ、持てる知恵と経験を総動員して岩を撤去しようとするが、ピクリとも動かない。 死を目前にして初めて自分の人生と向き合うアーロン。自分勝手に生き、決して心を開かなかった両親にも、友人にも、恋人にも――。
衰弱した身体を引き裂くように襲いかかる後悔、そして湧き上がる命への情熱。生きたい。生き直したい――!
そして生命の限界を超えた127時間後、遂に彼は〈決断〉する――。
【感想】
アカデミー賞6部門に続く言葉を「受賞!」と誤読したまま鑑賞し、なぜこんなものが6部門も取ったんだと首を傾げながらもう一回見たら「ノミネート!」というオチ。このトラップには何度も引っ掛かっているのだが、これを女の子たちが『かわいい!』と思ってくれるのだったらこれからも引っ掛かるつもりなんだけどどうしたらいいの。
そんなトラップの他に監督が【ダニーボイル】という点と【実話】という点でとりあえず観ておくことにしたんだけど、取り立てていうこともない。ただ、落石に腕を挟まれ一歩も動けないという設定だけで90分を退屈させずに見せ続けるというのは見落としがちなことだけどスゴいことだよなと感心した。それと死が迫る極限状態で自慰をしたくなるという男の生存戦略をしっかり入れたのって立派だよね。女性からしたらしょーもない安っぽい演出にしか見えないだろうし映画の流れ的に浮いちゃうかもしれない恐怖と闘ったんでしょう。そこのところはちゃんと評価されるべきところだとおもった。

ファニーゲーム [DVD]
スザンヌ・ローター
アミューズソフトエンタテインメント
2009-06-26


【ストーリー】
穏やかなある夏の午後。バカンスを過ごしに湖のほとりの別荘へ向かうショーバー一家。
主のゲオルグ、妻のアナ、そして息子のショルシと愛犬のロルフィー。
別荘に着き、台所で夕食の支度をするアナの元に、見知らぬ青年が訪れる。
ペーターと名乗るその青年は、卵を分けてくれないかと申し出る。
たわいもない会話の後、突然ペーターはアナに好戦的な態度をとり始めた。
そこへもうひとりの青年パウルが現れ、さらにアナを挑発。
ゲオルグが仲裁に入るがパウルは逆にゴルフクラブでゲオルグの膝を打ち砕いた。
この時から、一家は青年ふたりの操る《ファニーゲーム》の不運な参加者となったのだった…。
【感想】
あまりに過激な内容のためにカンヌ映画祭ではヴィムヴェンダースをはじめ、批評家や観客が次々と途中退場をしたという作品。
先週観た「エスター」や「ゆりかごを揺らす手」などのように、幽霊とか宇宙人とか怖いものはいろいろあるけれど、一番怖いのはにんげんだよねっておはなし。徹底したリアリズムで描かれているが突如役者がカメラ目線で観客に話し掛けてくるなど意表をついた演出で惑わす技術は見習うべきものがある。現実と虚構のあいだで観客を揺さぶる。
しかし不謹慎でゲスな言い分と思われるだろうが、もっとエロ描写が欲しいところ。女性が目の前で言いなりになる状況でだよ、服を脱げって指示して全裸を見たら満足ってそりゃないよ。そういう描写を見て興奮したいわけじゃないよ。全裸を見て好みじゃないならわかる。散々いいボディだって興奮しておきながらそれで終わっちゃうなんて良心的すぎる。童貞設定だとしてもね、せめて乳房にむしゃぶりついてマミーマミー連呼するくらいはしてもいいだろう。猟奇的なもん描くつもりならもっと猟奇的に追い詰めてほしかった。

somewhere Blu-ray
スティーヴン・ドーフ
TCエンタテインメント
2011-10-05


【ストーリー】
どうしてだろう、娘との時間が美しいのは。

ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ。彼はロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント"を仮住まいにし、
高級車を乗り回してはパーティーで酒と女に明け暮れ、まさにセレブリティらしい華やかな生活を送っていた。
しかし、それらはいずれも孤独な彼の空虚感を紛らわすだけのものに過ぎなかった。
そんな彼が大切にしているのは、前妻と同居する11歳の娘クレオとの親子の短いひとときだった。
自堕落な日常を過ごす彼だったが、母親の突然の長期不在により、無期限でクレオの面倒を見ることになる。
やがて、映画賞の授賞式出席のためクレオと一緒にイタリアへと向かうジョニーだったが…。
【感想】
ゴッドファーザーの娘さんソフィア・コッポラ監督を見るのは「ロスト・イン・トランスレーション」以来2作目。「ロスト・イン・トランスレーション」は最高すぎて手足の痺れが一週間取れなかったのだが、今回の「SOMEWHERE」もかなりきてる。冒頭でスーパーカーが同じところぐるぐる回ってるだけの映像を五分くらい垂れ流されるんだけど、もうそれだけでこの映画の全てを語ってるというね。その思い切りの良さと勇気ね。ソフィア・コッポラの映画センスが天才すぎてなんだか泣けてきた。今回は感想省略。彼女の他作品を早急に鑑賞したあと改めてまとめて言いたいこと言おう。


他にもなんか観た気もするんだけど、「SOMEWHERE」のインパクトで大体飛んだ。
思い出したら来週にでも付け加えておく。





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2013年09月28日

9/28(土)本日ついに「地獄でなぜ悪い」が封切られた!
地獄


早速この歴史的モニュメント作品に立ち会うべく新宿バルト9(シアター5)一発目の9:00の回へ行ってきた。
前作「希望の国」はぶっちゃけ3.11震災と結婚を通過した園子温も年貢の納め時かと悲しみにくれた人たちの涙で街がずぶ濡れたものだが、今回は予告からして園子温早々の帰還を予感していた人も多いと思う。その予感は見事に的中するぞ。決して大げさなんかではなく、あの「愛のむきだし」に並ぶ出来映えだ!


「リアリズムとファンタジックが真っ向からぶつかったとしたら、いったいどちらが勝つと思う?」

【感想】
一言で言うならばこの作品は映画バカの映画バカによる映画バカのための映画だ。
映画に必要なのは一に映画愛で二に映画愛で三から十まで映画愛だということをわかりやすく説明すると「地獄でなぜ悪い」という答えになるんじゃないかと言える。
ストーリーは映画開始0秒からあまりのテンポの良さに(血みどろ残虐シーンの数々にも関わらず)感動で涙が出そうになる。まるで「愛のむきだし」をぎゅぎゅっと凝縮したかのような濃度だ。満島ひかりと二階堂ふみが重なって見えるのだ。特に映画の歴史に残るであろうキスシーンは絶対に観ていただきたい。ちんぽが縮みあがるほど痛々しいくせに、やさしくもかっこいいそのキスは何度も夢に見るはめになるだろう。二階堂ふみはヤバい。大事なことだから何度だろうと、二階堂ふみはヤバい。

しかしヤバいのはなにも二階堂ふみに限った話ではない。國村隼も堤真一も長谷川博己も星野源も友近も、配置されたキャスト一人残さず誰もがファンタジックに演じるその様は、役者たちの映画を楽しむ姿勢に溢れていて感動的だ。(でんでんや岩井志麻子や水道橋博士が友情出演という形で名を連ねているというのもまた園子温監督らしくもありニヤリとさせてくれる)

映画一番の盛り上がりを見せるクライマックス。血飛沫に混じって腕が足が首が飛び交うヤクザ抗争の映像には近年の北野武「アウトレイジ」から果ては懐かしの「ブレインデッド」に至るまで映画バカの旅を存分に堪能できるぞ。左手にマシンガン、右手に35mmフィルムの一発撮り。スタートの合図が鳴り響けば、映画狂人たちのターン。いや、ゆりかごから墓場まで、映画狂人にとってこの世はずっとオレたちのターンだった。打ちまくりながら回し続ける不屈の監督魂。一体これはなんだ。夢を見てるのか。そうだ夢だ。夢だけ見ててなにが悪い。例えそれが地獄だろうと。地獄でなぜ悪いのだ。若者たちよ武器をとれ!愛を叫べ!情熱で回し続けろ!

この映画はリアリズム VS ファンタジック の全面抗争だ。

これ以上余計なことは書かないでおこう。
園子温監督が好きな方なら鉄板中の鉄板。
愛のむきだしを超えたという声すらいずれあがるだろうから観とけ!
園子温?何それ温水と違うの?って人は、うーん。
ぐっちゃぐちゃできったなくて、でもすげえエロくてやばいんだけどそれでもいいなら超オススメ!


園子温監督、今はKAIJYU映画作ってるんだと!!
もう止められない。園子温は伝説になる。

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2013年09月24日

カラフル 【通常版】 [Blu-ray]
冨澤風斗
アニプレックス
2011-04-20


【ストーリー】
死んだはずの“ぼく”の前に、突如“プラプラ”という天使(?)が現れ
「おめでとうございます。あなたは抽選に当たりました」と話しかけてきた。
大きな過ちを犯して死んだ“ぼく”は、再び下界へ戻って再挑戦するチャンスを与えられたというのだ。
そして、自分の罪を思いださなければならないと。
こうして、“ぼく”の魂は自殺したばかりの中学生・小林真の体に入り込み、真として生きることになる。

真の家庭は、一見幸せそうに見えた。しかし、存在感の薄い父、母は不倫中で、兄は出来の悪い真を馬鹿にして口も聞かない。
その上、学校では内気で友達も無く、成績も最低。
救いようのない毎日を生きていた真は、秘かに想いを寄せる後輩ひろかが援助交際をしている事実を知り、自殺したと“ぼく”は知る。
そんな中、真っぽく振る舞わない“ぼく”と、まわりの関係が少しずつ変わってゆく。
家族、はじめて出来た親友、真をずっと見ていた唄子、そしてひろか。
様々なことが動き出し、そして、“ぼく”は「ある事」に気づく。

灰色一色だと思っていた“真”の世界は、
よく見ると、いろんな色を秘めていた――
【感想】
これだったら実写で良かったのでは?というツッコミは違う。
こういう作品をアニメで表現してこそ日本のアニメーションは文化になりえる。

いや、そもそも実写でやるとして誰がこの繊細な中学生たちを演じる?
小林真に限らず佐野唱子も桑原ひろかも早乙女くんでさえ思い当たらない。
配役の段階で企画は暗礁にのりあげてしまい、クランクインに至らないではないか。
無理して実写に拘り「劇場版中学生日記」を制作してしまうくらいならば。
アニメ化やむなし。


もっとも印象に残るのは家族で囲む食事シーンだ。
母親は不倫を悔やみ、家族の絆を取り戻そうとカラフルな食事を用意する。
しかし真は不倫をしていた“汚い手”で作られた料理を拒絶する。中学生の子が母親の不倫を知ってしまった場合の反応としては当然だ。両親の性行為を想像しただけでさえ気持ち悪さを感じてしまうのだから――
手のつけられない食事が執拗に描写されつづけ蓄積された映像はクライマックス、真が作中はじめて母親の手料理を口に運ぶシーンで津波のように押し寄せてくる。母親の手料理を口にする――この小さな行動がこの母と子にとってどれほど大きな意味をもつのか、それが繰り返された分だけ心に響く。真は母親の犯した罪を胃袋に飲み込んだのだ。「赦す」のでも「赦さない」のでもないもうひとつの決断があるということを繊細に切り取ってみせたとてもいいアニメだった。

他の方のレビューで割合多く見受けられるのが描かれるべきものがアニメでは描かれていないというもの。
本の評価も随分と高いようすで気にはなるが、とりあえず現状はアニメで満たされた。
カラフル (文春文庫)
森 絵都
文藝春秋
2007-09-04



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2013年09月23日

28週後… [Blu-ray]
ロバート・カーライル
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2010-08-04


【ストーリー】
たった1滴の血液で感染し、人間の精神を数秒で破壊する新種のウィルスが発生した。感染者の血管は純粋な激しい怒りで溢れ、人間の声を聞いただけで相手を殺そうと襲いかかる……。28日後、ジムは病院の集中治療室で昏睡状態から目覚める。世界から何もかも消滅してしまったような静寂の中、ジムは生き残った4人の非感染者たちと共に1台のタクシーで旅立つ。未来を救えるわずかな可能性を信じて。しかし、死のウィルスより恐ろしい存在に彼らはまだ気づいていなかった……。
【感想】
ダニーボイル監督の「28日後」はおもしろかったが続編「28週後」はファン・カルロス・フレスナディージョという監督へと変わったのでこれまでスルーしてた。いい加減観ておこうと渋々借りてきたが案の定、案の定だった。

みなさん、さようなら [Blu-ray]
濱田 岳
ジェネオン・ユニバーサル
2013-06-05


【ストーリー】
「ぼくは一生、団地の中だけで生きていく ! 」
12歳の春、周囲を仰天させる一大決心をした悟。繁華な団地には肉屋、魚屋、理髪店、衣料品店など何でもそろっている。外出は団地の敷地内だけで充分。初恋も、親友も、就職も、結婚も、何だって団地の中だけで出来る。優しい母親と友人たちに見守られ、悟はそうやって団地の中で日々を過ごし成長していく。だが時が経つにつれ、団地で暮らす友人たちは、ひとり、またひとりと悟の前から去っていき、あんなに賑やかだった団地も少しずつ寂れていってしまう。それでも悟は団地の外に出ようとはしなかった。そしてある日、そんな悟の日常と一大決心を揺るがす、とても大きな出来事が起きるのだった…。
【感想】
主演の濱田岳がいい。
「小学生」から「30代」の振り幅を酷い違和感を与えずに演じきれている。
団地っていいな。団地だけでたくさん物語作れる。団地モノ書きたくなった。

エスター [Blu-ray]
ベラ・ファーミガ
ワーナー・ホーム・ビデオ
2010-11-03


【ストーリー】
この娘、どこかが変だ。

9歳の少女エスターには、悪いことばかりが付きまとう。
生まれ故郷のロシアでは孤児となり、以前の育て親は火事で亡くなり、エスターだけが助かった。
でもコールマン一家に養子として引き取られ、ようやく彼女に平穏が訪れた。
そう、クラスメートが高い滑り台の上から転落するまでは。
孤児院のシスターが誰かに殴り殺されるまでは。
そしてエスターの新しい母親が、あの悲惨な火事は本当に偶然だったのかしらと疑惑を抱くまでは……。
ダークキャッスル・エンタテインメントが贈る、衝撃のサイコスリラー『エスター』。
謎、疑惑、そして恐怖が、万力のように観る者の心を締め上げる。
可愛くて、賢くて、独創的で、とっても情緒不安定な女の子エスター。
出会ったら、二度と忘れられない。
【感想】
「ゆりかごを揺らす手」
大事なことなのでもう一度、「ゆりかごを揺らす手」

エスターを演じたイザベル・ファーマンは当時12歳。
こんな役をしてしまったらその後の人生いろいろこじらせちゃうだろう。



【ストーリー】
スピーチができない男が、国王になった―。
吃音に悩む英国王ジョージ6世が自らを克服し、国民に愛される本当の王になるまでを描いた感動の実話。
ジョージ6世は、王になどなりたくなかった。兄のエドワードが、王室が認めない愛のために王冠を捨てたことから、予期せぬ座についたのだ。しかも彼には、吃音という悩みがあった。スピーチで始まり、スピーチで終わる公務の数々に、いったいどう対処すればいいのか? 王は何人もの言語聴覚士の治療を受けるが、一向に改善しない。心配した妻のエリザベスは、スピーチ矯正の専門家、ライオネルの診療所に自ら足を運ぶ。堅く閉ざした心に原因があると気付いたライオネルは、ユニークな治療法で王の心を解きほぐしていく。折りしも第二次世界大戦が始まり、ヒトラーの率いるナチスドイツとの開戦に揺れる国民は、王の言葉を待ち望んでいた。ライオネルの友情と妻の愛情に支えられ、王は国民の心をひとつにするべく、渾身のスピーチに挑むのだが―。
【感想】
数本を連続で鑑賞したのもあって睡魔との闘いを強いられました。
起伏が少なく、トーンも暗め。
「英国調の美術を楽しめる」のような視覚的な見どころが欲しかった。

座頭魄市orejiru at 19:18│コメント(0)トラックバック(0)映画  | このエントリーをはてなブックマークに追加
これはすごい!これはすごいゾ!
パシフィックリムで突き上げた拳をポケットにしまいかけてたところ慌ててもう一回拳を突き上げてしまったんだ。
公開当時に気付かなかっただなんて知れたらそれこそ映画愛好家からエルボーロケット喰らうであろう失態だ。



先日鑑賞した「ジャックと天空の巨人」でピータージャクソン監督を思い出しまして、というのも映画そのものはおもしろかったのですが、ついピータージャクソンが監督していたら傑作になっていたんじゃなかろうかといらぬ妄想を抱いたんですね。そんでロードオブザリング以降どうしてんのかなあと検索かけたところにこの作品。「タンタンの冒険」が映画化されたところまでは(たしか王様のブランチで紹介されて)知っていたのですが、監督がスピルバーグという情報を得たところでシャットアウトしてしまったようで、まさかピーター・ジャクソンが絡んでるとは知りませんでしたよ。じぇじぇじぇ!
子どものいる生活に甘えて長いこと映画から足を遠ざけていたのを実感し、周回遅れとなったいま映画情報数年分の詰め込み教育を誓った連休でありました。

さて「タンタンの冒険」についてですが、原作のイラストは誰もが一度は目にしたことはあるのではないでしょうか。
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60年代後半は手塚治虫や藤子不二雄など巨匠たちの手によって漫画が大量生産されましたが、その対抗策として「保護者が子どもに買い与えるべき作品」として企画・出版されました。

80年代後半の我が家においてもタンタンが買い与えられ、自分で買ったウメ星デンカをゴミ箱に捨てられるという事件がありました。
余談ですが時がたった今ではウメ星デンカに3万円(×3)の値段がついている事を知り嘔吐。MOTTAINAINE。
でもおかげさまでわたしもタンタンのファンとなったのです。

「タンタンの冒険」ができるまでのエピソードが面白いのでざっくり説明させてください。
スピルバーグは81年『レイダース/失われたアーク《聖櫃》 』を発表しましたがそのとき『タンタンの冒険』との類似を比較評価された事を機に、原作の愛読者となりました。また原作者のエルジェもスピルバーグの映画を観て感激し、お互いが尊敬し合う関係となりました。
83年、スピルバーグは『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』撮影中にロンドンで映画化権の交渉のためエルジェと会う約束をしていましたが、不運にもその週にエルジェは亡くなります。しかしエルジェ夫人が映画化権を与えることを決め(生前エルジェがタンタンを的確に映画に出来るのはスピルバーグだけだと洩らしていた)、84年に権利をスピルバーグは得ることになるのです。
権利を得たものの、スピルバーグは納得できる脚本が出来ずに月日が経ちます。同時並行で動いていたインディ・ジョーンズシリーズが大成功したこともあり、一旦映画化権はエルジェ財団に返上されます。
ロマン・ポランスキーなどが「タンタン」映画化に意欲を示しエルジェ財団と交渉を試みたものの、結局さいごまで「映画の質」において信頼できないという理由で財団は権利を渡しませんでした。

月日は流れ2002年、CG技術の向上によってスピルバーグはついに「タンタン」の映画化が可能な時代になったことを確信し、再び映画化権を取得します。長期に渡って映画化権を守ってきた財団もスピルバーグにこそ権利を渡したかったわけで、ようやくここでタンタンは再び動き出すのです。脚本は順調に仕上がり、2004年に正式に「タンタンの冒険(ユニコーン号の秘密)」が発表されました。

一方ピーター・ジャクソン。彼もまた長年の原作ファンでありました。『キング・コング』、『ロード・オブ・ザ・リング』と制作していくなかでモーション・キャプチャ(現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する)技術の第一人者として地位を確立しました。その経験から「タンタンを映像化するにはモーションキャプチャが最も適している」と確信し、スピルバーグに提案します。
2006年、一週間のテスト撮影を経て、映像を確認したスピルバーグもデジタル撮影を承諾。翌年正式にスピルバーグ&ピーター・ジャクソン共同製作を発表しました。

「タンタンの冒険」を映画化するにあたって、水面下でこれだけの動きがあったというのは面白いですね。

ちなみに「タンタンの冒険」の撮影現場、数々の監督がこれに興味を示し見学に訪れていたそうです。
ジェームズ・キャメロン(主な作品「アバター」)
ロバート・ゼメキス(主な作品「バック・トゥ・ザ・フューチャー 」)
スティーブン・ダルドリー(主な作品「リトル・ダンサー」)
デヴィッド・フィンチャー(主な作品「ファイト・クラブ」)
そしてそして、
ギレルモ・デル・トロ(主な作品「パシフィック・リム」)New!!
そうだったんです。
「パシフィック・リム」のクソおもしろさはこの現場、ピーター・ジャクソンのエキスをいい塩梅に学んだ成果でもあったわけです。

ちがうちがう。
今回は「パシフィック・リム」マンセーしたいわけじゃなくて、ピーター・ジャクソン。
ちがうちがう。
ピーター・ジャクソンはあとでみっちり特集記事書くことにして「タンタンの冒険」です。

「タンタンの冒険」を「インディ・ジョーンズ」を超える面白さと表現してしまうと、思い出補正もかかっていますから少ししらけて受け取られる方もいると思います。ですが控えめに伝えるにしても「タンタンの冒険」=「インディ・ジョーンズ」同格の映画です。

あらためてあらすじは書きません。
好奇心に溢れたこどもたちはもちろん、今さら冒険活劇だなんて…と“冒険”ということばのイメージを自ら観たり読んだり聞いたりの経験値によってサイジングしてしまっている大人たちにこそ観てほしい。

これは100年に耐えうる冒険だ。


座頭魄市orejiru at 01:04│コメント(0)トラックバック(0)映画  | このエントリーをはてなブックマークに追加
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