2016年01月17日
【あらすじ】
1986年、カリフォルニアのコンプトン。アメリカ屈指の犯罪多発地域として知られる同地に暮らす、アイス・キューブ(オシェア・ジャクソン・Jr)、ドクター・ドレー(コーリー・ホーキンズ)ら5人の若者はヒップホップグループN.W.A.を結成する。危険と隣り合わせで、先の見えない毎日を強いられている不満や怒りをビートとリリックに乗せて吐き出す彼らのサウンドは、瞬く間に絶大な人気と支持を集める。しかし、名声を得た彼らに社会からの偏見や仲間の裏切りといった苦難が降り掛かる。
【感想】
池袋のシネ・リーブルで鑑賞。
80年代、アメリカ屈指の危険地帯コンプトンから、言葉で体制に立ち向かった伝説のヒップホップグループ「N.W.A」の伝記映画。
僕はヒップホップが好きなので割り増して楽しめたのですが、あまりヒップホップに良いイメージを持っていない人でも楽しめる映画になってると思います。当時のアメリカ社会における黒人差別の実情が描かれているので、彼らの攻撃的な姿勢の裏にはどんな想いがあるのか、そもそもどんな背景があっての歌詞なのかが理解できるので面白いですよ。
ただ、製作にドクター・ドレーとアイス・キューブが関わってるだけあって、ところどころ美化されていて事実は映画の中よりもしょっぱい箇所があります。そりゃドクター・ドレーもアイス・キューブもかっこよく見せたいですから当然のことではあるのですが、そういった場面では若干冷めたのも事実。ヒップホップ好きで彼らのファンでしたら是非ドクター・ドレーとアイス・キューブがかっこつけてオーバーに演出した箇所を探してみてね。
2015年12月27日
【感想】
公開から1週間が経ち、検索かければかなり踏み込んだネタバレが目に飛び込んでくる状況ですが、念のため内容には一切触れないでおきます。
ただ感想だけを。
最高!!
旧作ファンも必ず満足出来る出来で、エピソードⅠ/Ⅱ/Ⅲのような残念なことにはなっていません。旧作に対するリスペクトも感じられ、ファンサービスが徹底されている。それに加えてしっかりヴァージョンアップされていて、新旧のバトンタッチが完璧な仕上がりでした。
新主人公のレイ、そしてBB-8、最高にキュート!
しかしこれ、エピソードⅥからⅦまでのハードルをちゃんと超えたとはいえ、Ⅷで少し落ちそうで、ますます怖くなった気がします。いやいや、これ以上のカタルシスを得るのは無理なんじゃないだろうか…。
なんにせよ、絶対に死んではいけない理由が一つ増えたことは素晴らしいですね。エピソードⅧを観るまでは、とにかく生きるぞー!
冬休みの間に、もう一回鑑賞してきます!
2015年12月25日
2015年に感動した作品は、小説部門では断トツで「ストーナー」でした。
http://takushi.blog.jp/archives/52050181.html
映画に関してはこれから年末までに「スターウォーズ」と「DENKI GROOVE THE MOVIE?」を観なければ年を越せませんので保留にしておいて、先に2015年の漫画部門。
これは本当に感動した。
amazonで「よく一緒に購入される商品」で紹介される卯月妙子の「人間仮免中」が面白く読めた人、あるいは吾妻ひでおの「失踪日記」が好きな人には大変オススメの漫画です。
以前の記事
「人間仮免中を読んで」(内容閲覧注意)
http://takushi.blog.jp/archives/51931050.html
「喜劇」とは「悲劇」の連続によって生まれる「失踪日記2 アル中病棟」
http://takushi.blog.jp/archives/51974579.html
道草晴子さんは13歳にして「ちばてつや賞」を受賞してデビューをした漫画家さん。しかし14歳にして精神病院へ入院するはめに。統合失調症と診断され、クスリで意識がぼんやりした状態がデフォルトのまま青春時代を過ごす。その後も精神病院を出たり入ったり、15年以上もの壮絶な記録。そしてそれが30歳にして誤診だったって発覚するというね…もうシュールすぎて辛い。
精神病棟内がやばい。お薬で意識がぼんやりした患者がみなさんで集まって、モーニング娘の「LOVEマシーン」を踊り狂ってるのは思わず吹いた。
「にっぽんの未来はウォウウォウウォウウォウ」
「世界がうらやむウェイウェイウェイウェイ」
この、日本の未来感よ。
何回読んでもここで吹き出す。
絶望的な日常をシュールな「笑い」に変えるセンスはまさに天才的。そして何よりも、ラストめちゃくちゃ感動します。みんなどこかしら欠けてる。寄り道して、道草食って、たとえ振り出しに戻ったっていいじゃない。ただ、生きる。素晴らしい人生じゃないか。
きっと読んだあと、空がおもったより青いことに気がついて、昨日よりも前向きになれるような、そんな最高の漫画です。
無理をしてまで描かなくていいけど、気が向いたらまた描いて、気が向いたらまた漫画本出してほしい。絶対買うから。
http://takushi.blog.jp/archives/52050181.html
映画に関してはこれから年末までに「スターウォーズ」と「DENKI GROOVE THE MOVIE?」を観なければ年を越せませんので保留にしておいて、先に2015年の漫画部門。
これは本当に感動した。
amazonで「よく一緒に購入される商品」で紹介される卯月妙子の「人間仮免中」が面白く読めた人、あるいは吾妻ひでおの「失踪日記」が好きな人には大変オススメの漫画です。
以前の記事
「人間仮免中を読んで」(内容閲覧注意)
http://takushi.blog.jp/archives/51931050.html
「喜劇」とは「悲劇」の連続によって生まれる「失踪日記2 アル中病棟」
http://takushi.blog.jp/archives/51974579.html
道草晴子さんは13歳にして「ちばてつや賞」を受賞してデビューをした漫画家さん。しかし14歳にして精神病院へ入院するはめに。統合失調症と診断され、クスリで意識がぼんやりした状態がデフォルトのまま青春時代を過ごす。その後も精神病院を出たり入ったり、15年以上もの壮絶な記録。そしてそれが30歳にして誤診だったって発覚するというね…もうシュールすぎて辛い。
精神病棟内がやばい。お薬で意識がぼんやりした患者がみなさんで集まって、モーニング娘の「LOVEマシーン」を踊り狂ってるのは思わず吹いた。
「にっぽんの未来はウォウウォウウォウウォウ」
「世界がうらやむウェイウェイウェイウェイ」
この、日本の未来感よ。
何回読んでもここで吹き出す。
絶望的な日常をシュールな「笑い」に変えるセンスはまさに天才的。そして何よりも、ラストめちゃくちゃ感動します。みんなどこかしら欠けてる。寄り道して、道草食って、たとえ振り出しに戻ったっていいじゃない。ただ、生きる。素晴らしい人生じゃないか。
きっと読んだあと、空がおもったより青いことに気がついて、昨日よりも前向きになれるような、そんな最高の漫画です。
無理をしてまで描かなくていいけど、気が向いたらまた描いて、気が向いたらまた漫画本出してほしい。絶対買うから。
2015年12月21日
【あらすじ】
第63回戦車道全国高校生大会で頂点へ上り詰めた大洗女子学園に、平穏な日々が戻ってきた。ある日、大洗町でエキシビションマッチが開催されることになり、大洗女子学園は知波単学園と混成チームとして出場し、聖グロリアーナ女学院・プラウダ高校混成チームと対戦する。選手たちは戦いを通じて友情を育む中、生徒会長の角谷杏が急用で学園艦に呼び戻され……。
【感想】
巷で「マッドマックス級の迫力だ!」と大絶賛されているガルパン。スターウォーズで盛り上がっているなかでガルパンを選択。ガルパンもスターウォーズに負けぬ人気。爆音上映を売りにしている立川にいたっては全くチケットが取れない状況でした。立川で鑑賞するつもりでしたが断念し、新宿バルト9にて鑑賞です。
感想としては、TVシリーズからちゃんと観て、ちゃんと自分が好きなキャラが固まっている人にとってはたまらない仕上がりで、カチューシャ好きの僕はもうすっかり満足できた映画でした。
でも、TVシリーズを観ていなくて、評判がいいから観てみようかとふらっと入った一見さんも楽しめるのかと言うと、面白さを保証出来ないというのが正直なところではあります。いや、多分楽しめるんじゃないかなとも思うんですけど、キャラクターごとの個性はTVシリーズで復習してあるのが前提で作られていて、監督が観客を信頼しきっちゃっていた部分もあるんじゃないかと。そこはもう少し丁寧にキャラの個性を簡単でもいいから説明するような描写を盛り込んでも良かったんじゃないかな。TVシリーズファンに向けたファン感謝祭映画が作りたかったんじゃ!というのなら成功してるでしょうけども、いや、もっともっとガルパンは愛される作品になるでしょうから。
戦闘シーンは120%満足でした。最高!
戦車道最高!
戦車道世界大会も作るんでしょうか。
作ってほしいなぁ。
2015年12月18日
2015年に読んだ本の中でもっとも心に響いた小説。
特に男性に勧めたい本だが、あらすじを語っても多くの人は「何それ!読みたい!」なんて思わないだろう。平凡な男性の、平凡な人生が淡々と語られるだけで、特筆すべき事件が起こるわけでもなく、感動的な名場面が用意されているわけでもない。粛々と、不器用な男の小さな悲しみが積もり続けていく。しかし誰もがそうであるように、深い悲しみは人を強くする。悲しみこそが、と言ってもいい。それから、不条理の中にも小さな幸福を見出し、自らの人生を、生きることを肯定していく。悲しみの降り積もる中に、僅かな幸福も堆積し、層状をなして累積したそれはまるで地層のように美しく、大きな感動を与えてくれる。何者か目指し、しかし何者にもなれぬ人生を、それでもなお美しいのだと理解するだろう。
本書が刊行されたのは1965年。当時はそれほど評価されることはなく、次第に忘れられた作品となった。それから約半世紀が経ち、欧州で再評価をされ一気に世界中に広まったのだそうだ。
日本では昨年設立された「日本翻訳大賞」にて、読者の支持が最も高かった本として「読者賞」に輝いた作品。
今のところkindle版はないようだが、電子版よりも紙で読むのを薦めたい。この本は装丁にも心に染みる配慮がされている。カバーを剥がし、裸になった赤い表紙の「ストーナー」が心に刺さる。是非読んで体感してほしい。
完璧に美しい小説。
2015年12月10日
草思社から出版された「世田谷一家殺人事件」を読んだのはもう何年も前の事だけど、つい数日前まで外国人犯罪集団「クリミナル・グループ」の存在を疑ったことはないし、書かれていた内容について疑問に思うこともありませんでした。ただただ、クリミナルグループ怖ぇ!と怯えてた。
本書を読んだあとにネットを使って調べればすぐ分かることだったのに、鵜呑みにしていたのが今となっては恥ずかしい。というのも、著者「斉藤寅」版の「世田谷一家殺人事件本」は警察当局から内容が事実とは異なっていると指摘されていたようで、amazonレビューを見ても分かるとおりデタラメな本として今は定着しているようなのだ。
その事実をなぜ今頃になって知ったのかというと、今週1冊の本が刊行されたから。
kindle版もあります。
amazonの書影では帯の文言を確認出来ないのだけれども、書店で見れば銀の箔を豪快に使った大きな文言が飛び込んでくる。
わたしは真犯人に会った。
順番としてはこの本を見かけた時はまだクリミナルグループこそ真犯人だと信じて疑わなかったわけで、マジか!クリミナルグループに飛び込んでいったのかよ!と驚いたわけだ。
すぐに購入して、その足で(仕事中だったにもかかわらず)喫茶店に入り、夢中で読んだ。
一橋文哉もまた、情報の出所は公にしない書き手のため、話の信憑性については裏付けが取れない部分もあるわけだけど、この本は説得力が強かった。というか、この本こそが真実だろうなと信じられる内容だった。
一橋文哉の3億円事件を読んだ人なら、そのぐいぐい引き込む文章を体験済みだろうけど、今度の新刊もまあすごい。
2014年のベスト10にいれた清水潔の「殺人犯はそこにいる」級に、手に汗握りながらの読書でした。
実際のところはクリミナルグループではなかったのだけれども、まぁ、、、恐怖は増幅してしまいます。読んでみてください。ほんとに怖いから。
2015年のベスト10冊に間違いなく入る書。
本書を読んだあとにネットを使って調べればすぐ分かることだったのに、鵜呑みにしていたのが今となっては恥ずかしい。というのも、著者「斉藤寅」版の「世田谷一家殺人事件本」は警察当局から内容が事実とは異なっていると指摘されていたようで、amazonレビューを見ても分かるとおりデタラメな本として今は定着しているようなのだ。
その事実をなぜ今頃になって知ったのかというと、今週1冊の本が刊行されたから。
kindle版もあります。
amazonの書影では帯の文言を確認出来ないのだけれども、書店で見れば銀の箔を豪快に使った大きな文言が飛び込んでくる。
わたしは真犯人に会った。
順番としてはこの本を見かけた時はまだクリミナルグループこそ真犯人だと信じて疑わなかったわけで、マジか!クリミナルグループに飛び込んでいったのかよ!と驚いたわけだ。
すぐに購入して、その足で(仕事中だったにもかかわらず)喫茶店に入り、夢中で読んだ。
一橋文哉もまた、情報の出所は公にしない書き手のため、話の信憑性については裏付けが取れない部分もあるわけだけど、この本は説得力が強かった。というか、この本こそが真実だろうなと信じられる内容だった。
一橋文哉の3億円事件を読んだ人なら、そのぐいぐい引き込む文章を体験済みだろうけど、今度の新刊もまあすごい。
2014年のベスト10にいれた清水潔の「殺人犯はそこにいる」級に、手に汗握りながらの読書でした。
実際のところはクリミナルグループではなかったのだけれども、まぁ、、、恐怖は増幅してしまいます。読んでみてください。ほんとに怖いから。
2015年のベスト10冊に間違いなく入る書。
2015年12月08日
刑に服す「僕」が事の顛末を、犯した罪を、過去に受けた傷をさらけ出してゆく。
この手の自分語り小説というのはハズレがない。
それがフィクションであれ、ノンフィクションであれ。
獄中からの言葉には特別な魔法がかけられている。
「解錠師」もまた、刑務所の中で10年過ごした青年が、その過去を回想していく小説だ。
アメリカで多くの賞を獲得した「解錠師」は、日本でも2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位、このミステリーがすごい2013年海外編第1位を取り注目された。
kindle版もあります。
個人的にはミステリー要素の部分に物足りなさを感じたのは事実だけれども、この小説の醍醐味はミステリー要素ではなく、ロマンス要素にこそあると思う。ロマンス描写がそれはもうキュンキュンきまくる小説なのだ。
少年は8歳の頃に、ある事件がきっかけで失語症となってしまう。なかなか語られないその事件。いったい少年に何があったんだ!?と、どう考えたってそっちに注目してしまうし、事実そう促す語り口調だけど、そのいわゆるミステリーの核となる事件は正直なとこ想定の範囲内におわる。
ただね、アメリアとのロマンスがまぁすごい。声が出ない少年とアメリアが心を通わせていく手段が漫画なのですよ。漫画みたいな、という意味ではなく、漫画。
自分の気持ちを漫画にしてアメリアに読ませる。アメリアはそれに応えて漫画の次のコマを描いて少年に渡す。二人でコマを交互に描いていく。
そしてついに―—。
ピークのところは悶絶しました。
物語の中盤のところ。そのロマンスがこの小説のもっともおいしいところ。そこを味わうだけでも十分価値のある、かなりオススメの小説です。
この手の自分語り小説というのはハズレがない。
それがフィクションであれ、ノンフィクションであれ。
獄中からの言葉には特別な魔法がかけられている。
「解錠師」もまた、刑務所の中で10年過ごした青年が、その過去を回想していく小説だ。
アメリカで多くの賞を獲得した「解錠師」は、日本でも2012年週刊文春ミステリーベスト10海外部門第1位、このミステリーがすごい2013年海外編第1位を取り注目された。
kindle版もあります。
個人的にはミステリー要素の部分に物足りなさを感じたのは事実だけれども、この小説の醍醐味はミステリー要素ではなく、ロマンス要素にこそあると思う。ロマンス描写がそれはもうキュンキュンきまくる小説なのだ。
少年は8歳の頃に、ある事件がきっかけで失語症となってしまう。なかなか語られないその事件。いったい少年に何があったんだ!?と、どう考えたってそっちに注目してしまうし、事実そう促す語り口調だけど、そのいわゆるミステリーの核となる事件は正直なとこ想定の範囲内におわる。
ただね、アメリアとのロマンスがまぁすごい。声が出ない少年とアメリアが心を通わせていく手段が漫画なのですよ。漫画みたいな、という意味ではなく、漫画。
自分の気持ちを漫画にしてアメリアに読ませる。アメリアはそれに応えて漫画の次のコマを描いて少年に渡す。二人でコマを交互に描いていく。
そしてついに―—。
ピークのところは悶絶しました。
物語の中盤のところ。そのロマンスがこの小説のもっともおいしいところ。そこを味わうだけでも十分価値のある、かなりオススメの小説です。